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Chapter-468 一細胞生物学

 一細胞生物学は、フックによる細胞の発見以来長年行われてきた細胞のかたまりとして生命を研究する実験方法とは一線を画し、一個の細胞を実験材料として使用して、その性質や特徴を明らかにしようという新しい学問領域です。そのような研究が進んだ結果、これまでは大量の細胞の平均値として得られていたデータから、細胞の一つずつが個性を持っていることが明らかになるデータが得られ始めており、それらのデータは再生医療やがん治療に役立つのではないかと考えられるようになってきています。

 非常に小さな細胞一個を使って実験ができるようになったのは意外なことに半導体製造技術の進展と密接なつながりがありました。たとえば、半導体を作る微細加工技術で、細胞一個分の幅しかない水路を刻んでそこに細胞を流すことによって、細胞を一列に並べて細胞一個ずつを分離することができます。水路を工場の配管のように巧みに構成することによって、細胞に対していろいろな薬品を作用させて反応を確認したり、遺伝子を増幅させて細胞間の遺伝子の違いを検出したりすることができるようにもなっています。

 その結果、たとえば私たちがこれまで肝臓の細胞、iPS細胞、がん細胞などとひとまとめにして考えていた細胞が、実は非常に個性のある性質の異なる細胞の集団であることがわかってきました。これまで、再生医療やがんの治療が思い通りに成功しなかったのは、そのような細胞の個性が原因であった可能性もあります。がん組織の一個一個の個性が解明されることによってより効果的な抗がん剤の開発に必要な情報が入手できるかも知れない、など、一細胞生物学の今後の進展が期待されています。


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2013-11-22 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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おびおのプロフィール

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