Chapter-512 かべちょろの足の仕組みがわかってきた

 身近な生き物であってもその生態はよく分かっていないことも多いものです。
 
 昭和40年代、まだ旧式の木造家屋が多かった時代、家の中にかべちょろがいることは割と普通の光景でした。ですが、近年になって機密性の高い住宅が一般的になってくると、あまりそのような身近な生物を見かけなくなってきました。

 そんなかつては身近で最近見かけなくなったかべちょろですが、その特徴はなんと言ってもその名前の由来でもある垂直な壁を歩くことができる、ということです。不思議なことに、つるつるに磨き上げられたガラス窓でさえ、何の苦労もなさそうに歩いていることから、どこにでも強力にくっつき、しかもあとも残さず簡単にはがれる究極のセロテープを作ろうといろいろなメーカーがかべちょろの研究に取り組んでいます。

 ですが、観察する対象はいくらでも捕まえられる普通の生物であるにもかかわらず、なぜそんな器用なことができるのか、その足の裏のメカニズムは分かっていませんでした。それが、今回新たに発表された研究で、かべちょろの足がくっついたり離れたりできる複雑な仕組みの一部が解明されました。

 どうやら、足の指にはえている毛の角度がポイントだったようです。この仕組みは乾燥粘着というファンデルワールス力という原始同士が非常に接近した時にお互いに引き寄せ合う非常に弱い力を使った複雑なメカニズムで、そのほかの垂直な壁にくっつくことができる生物で広く見られるねばりけのある分泌液を使う方法や、ツメを立てる方法とは異なるしくみです。

 かべちょろの足の指には非常に多くのとても小さな硬い毛が生えており、毛の先端は無数に枝分かれしています。それによって足の指の表面積は非常に大きくなり、原始同士で働くファンデルワールス力で体を支えることができるようになります。壁にくっついた足を引き離す時には指をひねって毛の角度を変化させることで、急激にファンデルワールス力が低下し、普通に歩くという行為の中でファンデルワールス力を変化させていることが分かりました。



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2014-09-20 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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