Chapter-523 マウスを丸ごと透明化

細胞を顕微鏡で見ると透明に見えるのに、なぜわたしたちの身体は透明ではないのでしょうか? 

そんな疑問に答えるかのように理化学研究所がマウスを丸ごと透明にする技術を開発しました。ポイントは
  ・光の散乱の原因となる脂質の除去
  ・組織内の屈折率の均一化
  ・血液などの生体色素を除去
の3点です。

これまで生命科学の研究は酵素、細胞、臓器のように生物を細かく分割して観察するか、あるいは動物丸ごとの行動や画像化で行われることが主でした。ですが、マウス一匹の身体を構成している細胞の数は約300億個、人間の身体は37兆個の細胞から構成されています。これらの細胞が全身に複雑な細胞ネットワークを張り巡らして成り立っているのが生物です。そのため、細かな部分だけを見ていては理解できない生命現象は多数あります。

免疫疾患やがんなどは、わずか1細胞の変化が、細胞ネットワークを通じて生命システム全体に重大な結果をもたらすことが知られています。そのため全身をネットワークとして観察することは重要です。ラット1匹の全身を1個の細胞ごとに観察する技術が確立されれば、既存の技術では検出困難な病態の初期過程のネットワーク構造を明らかにする上で、有効なアプローチとなります。その答えの一つが今回の全身透明化です。  

今回は、すでに理化学研究所、科学技術振興機構、東京大学の共同研究グループが開発していた全脳イメージング透明化試薬(CUBIC試薬)が、脳の脂分だけで無く、使い方を工夫することによって生体色素を効率的に脱色することを発見したことが全身透明化の成功につながりました。  

残念ながら生きたままの状態で透明にすることはまだ出来ませんが、観察したい部分を蛍光色素タンパクで光らせるなどしてマウスの身体の内部を解剖などせずに外から観察することが出来るようになりそうです。



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2014-12-20 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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