Chapter-534 バイオリファイナリー

バイオリファイナリーとは使い道の無い材木や稲わらのようなバイオマスを原料にして樹脂のような化学物質や電気のようなエネルギーを作り出すことです。これに対して、石油を原料とする方法をオイルリファイナリーと呼びます。リファイナリーとは精製所の意味です。  

バイオリファイナリーの有名な例としては、バイオ燃料があります。これは穀物に含まれる成分を酵母で発酵させてエタノールに変換するものです。原料を加工するために化石燃料を使っていたのでは意味がありませんので、微生物の力を使った発酵生産によって燃料や樹脂などの化学物質を得るのがトレンドです。  

そのため、バイオリファイナリーの中にいかに効率の良い発酵メカニズムを組み込むかの世界的な開発競争が始まっています。つまり、天然の微生物を使うのでは無く、遺伝子組み換え技術によってバイオリファイナリーに最適な微生物、特に原料であるバイオマスから目的の燃料や物質を一匹で一気に作ることのできる微生物の開発が進んでいます。これはまさに、従来の巨大な化学プラントを目に見えないほど小さな細胞の中に押し込む技術を開発することと同じ事を意味しています。  

しかも、トウモロコシなどのように利用しやすい原料では無く、分解が難しくこれまでは商業的にはあまり注目されていなかった材木や建設廃材を処理できる微生物が特に注目を集め、このようなこれまでは捨てるしか無かった価値のないものから、高い価値を持つ材料やエネルギーを作り出す研究が盛んです。

家畜の糞も使い道があまりないものですが、岡山大学は畜産由来のバイオガスを燃料とする固体酸化物燃料電池(SOFC)の研究を続けています。SOFCはエネファームと言えば、あぁ、と思われる方も多いと思います。現在は空気中の酸素と都市ガスから作った水素や一酸化炭素を使って発電する装置が市販されています。都市ガスを何かで代替することはできないかと考え出されたのが家畜の糞を原料としたメタン発酵によるバイオガス製造でした。5 年前から豚の糞尿由来のバイオガスの高効率利用を目指して、バイオガスを燃料とする800度以下で作動する中温作動型 SOFC の開発研究を行っています。

発電量は都市ガス型にはまだかないませんが、家畜の糞尿のように食生活を支える過程で排出されることが避けられないゴミを使って電力を作り出すことが出来れば、本当の意味でカーボンを排出しないエネルギー生産が可能になるかもしれません。



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2015-03-01 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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