染井吉野について

ちょうどこの季節、日本の国土を美しく彩る桜ですが、大きく野生種と栽培種の2種類に分けられます。

染井吉野について

野生種は世界で100種類も知られていて、日本にはそのうちの10種類を見ることが出来ます。一方で、公園などに植栽されている桜のほとんどは染井吉野という品種で江戸時代末期というごく最近、江戸の染井村の植木屋が売り出した栽培品種です。ですので、古い和歌などに詠まれている桜は私たちが普段良く目にする桜とはまったく違うものでした。

ひさかたの 光のどけき 春の日に
静心なく 花の散るらむ
                   紀友則

紀友則さんは西暦900年前後の歌人ですので当然染井吉野を見てこの歌を詠んだのではありません。当時は染井吉野はまだありませんでした。紀友則さんは京都の人ですからこんな桜を見ていたのでしょうか?

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染井吉野が人為的に作られた品種で世界中の染井吉野はクローン、つまり同じ遺伝子を持つとされていました。植物のクローンは接ぎ木によって作り出されます。受粉して種から栽培すると異なる株同士の交配になりますので染井吉野の美しさを維持することが出来なくなってしまいます。

染井吉野が本当にクローンであることが確認されたのは比較的最近のことで、1995年に全国の気象台で咲いている桜の遺伝子を比較したところ、それらすべては同一の遺伝子を持つクローンであることが科学的に確認されました。

染井吉野について

2000年代になると江戸染井の植木屋がどのようにして染井吉野を作り出したのかについておぼろげながらもその様子がわかってきました。

日本国内の野生種10種の遺伝子の配列を解析し、染井吉野の遺伝子の中に、それら野生種の遺伝子がどの程度の割合で含まれているかを解析したところ、染井吉野はオオシマサクラとエドヒガンサクラの交配種であるらしいことがわかりました。それ以外の桜の遺伝子も1割程度含まれていますが、これは江戸染井の植木屋が使った元となった両方の桜の遺伝子にもともと含まれていた他品種の遺伝子であろうと思われます。

日本中の気象台にある染井吉野が遺伝指摘に同一であるため、染井吉野の開花宣言による季節の訪れは各地の気候特性にさほど依存せず、まさに桜前線と呼ぶにふさわしい全国統一基準の季節変化の指標だと言えますね。
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2015-03-28 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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