Chapter-541 小脳はどうやって運動を覚えるのか

電気通信大学の研究グループの発表です。

スポーツのトレーニングや体を使った動作の練習をすると、それらの動きを学習して上達することが出来ますが、運動の記憶が脳内でどのように定着するのかはこれまでよくわかっていませんでした。 研究グループは、運動の中でも最も簡単な神経回路で生じる目の反射運動に着目しました。

目の前で画像を左右にゆっくり動かすと、それと同じ方向に目が動くことにより、網膜上の像のぶれを軽減させる反射が起きます。この反射を何度も何度も繰り返させると、目の動きがより大きくなり、その結果像のぶれをより軽減できるようになりますが、これをOKR の適応と呼びます。

OKR の適応には小脳が重要な役割を担っていることが既に知られています。研究グループは小脳の神経回路の数理モデルを構築し、コンピュータシミュレーションを行いました。その結果、トレーニングを1 時間行うと、第一段階として小脳皮の表面で神経細胞同士の接続に変化が起き、記憶が形成されました。

第二段階の変化はトレーニング後、休憩しているときに起きました。小脳表面の変化は自然に消失し、あたかも情報が転送されたかのように小脳の中心部分でそっくりの神経細胞同士の接続が発生しました。 このようにして運動の記憶は定着するようです。運動には「分散効果」といって、1時間のトレーニングを1回するよりも、15分のトレーニングを4回した方が効果が高いことがわかっていますが、この小脳での情報の転送と定着でもそれが再現されました。

今回の研究の結果によって、運動記憶の形成メカニズムの解明が大きく進歩したと共に、より効果的な学習・記憶法の確立や、自動的に動きを学習する知能ロボットの開発への応用が期待されます。



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2015-04-05 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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