Chapter-542 細胞シミュレーター

細胞1個を丸ごとコンピューターの中で再現しようとするプロジェクトが慶応大学や理化学研究所、スタンフォード大学などで進んでいます。

人間の細胞は非常に複雑なのでただちにコンピューター上でシミュレーションすることは難しいかもしれません。ですが、もしそれに成功すれば新しい優れた医薬品をコンピューター上で分子設計し、それをコンピューター上の細胞に与えて効果を見ることが可能になります。その結果、現在10年の年月と100億円の研究開発費がかかるといわれている新医薬品の開発期間と費用が激減されることが予想されると共に、治療薬の無い難病の治療薬の開発も容易になるかもしれません。

細胞のシミュレーションで多くの研究者が取り組むのがマイコプラズマという細菌です。マイコプラズマは実験室で簡単に培養できるのでシミュレーションの結果と実際の細胞の反応を比較しやすい点や、遺伝子が小さくて単純なのでコンピューター上で再現しやすい点、それでいて感染症の原因になるので研究上の有用性が高い点などがメリットとしてあげられます。

細胞の内部では膨大な種類の酵素反応が行われていますので、設定すべきパラメーターは数千にもなり、それらの最適化は非常に骨の折れる作業です。まずは全体的に想定される値の範囲を設定し、細胞をコンピューターの中で生かす、つまり時間を進めて実際に培養した細胞と同じような変化をたどるかどうかを調べる必要があります。

パラメーターの設定がきちんと出来ていないと、細胞分裂しない細胞や、生命とかけ離れた現象が起きたり、生きることもせずに特定のアミノ酸を大量に生産する不思議細胞が出来たり、いろいろなことが起きます。それはそれで面白いと思いますが・・・。

次の段階として世界の研究者らは細胞を顕微鏡で分子レベルにまで拡大して見ることができるような、細胞を分子の1個から再現する研究に取り組んでいます。



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2015-04-10 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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