Chapter-544 男が男を愛するようになるきっかけ

同性愛は人間だけのものではないのですが、そのメカニズムについて、これまで2通りの説がありました。

ひとつは同性を好きになる人はもともと遺伝子レベルでそのような素質を持っているという説。もう一つは同性のみの環境で育ったり好みの容姿の同性に出会ったり、そのような環境因子によって同性愛をするようになるという説です。ザクロジュースを飲むとホモになるという話は科学の世界ではあまり聞きません。

東北大学の研究者らがショウジョウバエで特に男同士の同性愛の研究を行った結果、同性愛は単に遺伝的なものであるとか、環境要因であるとか、簡単には判断できない複雑で高等な神経活動であるらしいことがわかったと報告しています。

オスにはP1神経細胞があり、この神経細胞の働きによってメスを好きになります。ショウジョウバエのオスはメスを見ただけでは求愛せず、メスに触れてフェロモンを感知して初めて求愛するようになります。フェロモンが相手を好きになるスイッチを入れる役目をしているのです。P1神経細胞の直接刺激はフェロモンを感じ取ったと同じ効果があり、オスはメスを見ただけで求愛行動を取るようになります。

一方、ショウジョウバエには遺伝子の変異によってオスが同性愛行動をするようになった系統、「サトリ」が存在します。サトリはフェロモンや脳刺激でP1神経細胞のスイッチをオンにしなくてもオスに対して無差別的なプロポーズをします。

ところが、サトリのオスを成虫になってすぐ隔離した場合には、オスに対する求愛行動は見られなくなりました。続いて、サトリに数日間集団生活をさせるとP1神経細胞が興奮するようになることがわかりました。 こうした結果を総合すると、サトリでは集団生活の経験によって神経細胞が視覚的に性的な反応をするようになり、オスであっても好きになるものと考えられます。

サトリはもともと遺伝子に変化があるショウジョウバエですが、同性愛行動は遺伝的素因だけで起きるものではなく、そこに環境要因が相互に作用しあい、特定の神経細胞が性的に反応しやすくなった結果ひき起こされることがわかったのです。



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2015-04-29 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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