Chapter-545 全球凍結は生への飽くなき探求だった

地球はかつて、完全に氷で覆われたとする衝撃的な説「スノーボールアース」が1992年にカリフォルニア工科大学の研究者によって発表されました。その後の地層調査などから、少なくとも2回、約24億5000万年前から約22億年前と、約7億3000万年前~約6億3500万年前に地球は氷で閉ざされたとする説が有力となっています。

地球が完全に凍ってしまうと、液体の水は失われ、火山活動やそれに伴う物質循環もなくなってしまうため、地球上の生物にとっては完全絶滅と紙一重のピンチです。ですが、現在の地球に多くの生物がいるということは私たちの祖先はこの2回もの大ピンチをなんとか耐え抜くことができたことを意味しています。

それどころか、最近の研究では全球凍結が酸素呼吸をする生物を生み出すチャンスにもなっていたようなのです。 酸素は太古の地球には大気中には存在していませんでしたが、原生代初期の全球凍結イベント直後に酸素濃度が上昇したことを示唆する証拠が見つかっています。東京大学の研究者らが全球凍結イベントからの脱出直後には、火山活動による大量の二酸化炭素放出をきっかけとする地球環境変動の結果として大気中の酸素濃度が急激に上昇することは必然であったことを明らかにしました。

このとき、二酸化炭素の温室効果によって地球全体が50度にも達する高温環境となって地上は氷の世界から一転して地表の風化が進み、海洋に微生物の栄養となるリンなどが大量に流れ込みました。

海洋が栄養豊富なスープ状態となると光合成を行うシアノバクテリアの爆発的な大繁殖が引き起こされ、大量の酸素が生産されて一気に放出されました。その結果、地球環境は酸素のない環境から酸素に富む環境へとわずか1万年で激変しと推定されます。

1万年は生物が遺伝的変異によって環境変化に順応していくことのできないハイペースの環境変化だったので、本来、細胞にとって有毒物質である酸素の無い環境に適応していた当時の生物にとって、酸素に富む環境への変化は破局的な環境変化となり、酸素呼吸を行う生物の大躍進がおきたのかもしれません。

硫化物は現在の多くの地上の生物にとって有害ですが、深海底では硫化物に由来する物質で形成された生態系もあります。地球が火山活動の激化によって酸素の時代から硫黄の時代に変わると私たち人間は硫黄で呼吸するように適応することが出来ず絶滅してしまい、今は海底でひっそりと暮らしている硫黄を使う生物が劇的な進化を遂げて、人間のような知的生命体をも生み出すかもしれない、そういう空想もできますね。



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2015-05-03 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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