姉妹同時観測を目指して開発を急ぐ「JWST」

ハッブル(HST)宇宙望遠鏡が打ち上げられたのはなんと1990年4月のこと。HSTが打ち上げられたときに生まれた赤ちゃんはもう25歳です。なんか「ドキッ」とする人、多いのではないですか?

HSTはこれまで息をのむほど美しい天体の姿を送り届けてくれました。HSTはもともとスペースシャトルでの有人修理、アップグレードを想定した設計になっていましたので25年間で5回の修理&機能UPミッションが行われています。ですが、2009年5月の部品交換を最後に、HSTに宇宙飛行士を運ぶスペースシャトルも運用を終え、すでにこれ以上の修理は不可能で、もし何かあれば運用終了もやむを得ない段階となっています。

姉妹同時観測を目指して開発を急ぐ「JWST」
NASA, ESA, and M. Livio and the Hubble 20th Anniversary Team

2004年、NASAはついにHSTへの有人ミッションをやめ、HSTの修理を行わない決定を下しました。その後、続々と観測装置が故障し、もはやこれまでかと思われたHST。米国を中心に世界中で延命嘆願運動や費用捻出のための募金活動が行われ、後継機の開発が遅れていることもあってNASAはHSTに最後の修理と大規模な部品交換による延命工事を行うことを決定しました。

ですが、HSTに宇宙飛行士が向かうためのスペースシャトル・アトランティスもこの時点で初飛行から24年も経過し、退役間近の機体でしたし、ミッションの難易度も著しく高くなり、HSTが本当に無事に復活するのか、世界中が固唾をのんでそのミッションを見守りました。

姉妹同時観測を目指して開発を急ぐ「JWST」
HSTのハッチ内に入って最後の修理中(NASA)

2009年5月に行われたハラハラドキドキの5回目にして最後の修理ミッションも完璧に終わり、HSTは打ち上げ以降最高の性能に到達しました。その後、あっという間に月日は流れ、既に6年が経過しています。

ここで開発が急がれているのが次世代大型宇宙望遠鏡ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)です。当初の計画では既に打ち上がっていなければならなかったものの、開発は遅れに遅れています。現在、2018年の打ち上げを目指して急ピッチで開発が進められており、なんとかHSTが生きているうちに娘のJWSTの観測を開始したいと科学者は思っているのです。

姉妹同時観測を目指して開発を急ぐ「JWST」
NASA/MSFC/DAVID HIGGINBOTHAM

人間の眼と同じ可視光・紫外線領域を得意とするHSTに対し、暗くて遠い天体、生まれたての天体や星間物質の観測を得意とする赤外線領域の得意なJWSTは対照的な性格を持つ姉妹です。私たちの見えている宇宙をもっと詳しく、もっと美しく、決して私たちの感性から離れること無く良妻のように寄り添っているHST。一方で、今まで見えなかった世界へ、もっと遠くへ、もっと未知の世界へと振り返りもせずに飛び出してゆく探究心旺盛な妹。二人が同時に同じ天体を観測したとしたら、その時に得られた映像が私たちに与える感動単に科学的な価値によるものだけではないはずです。

満身創痍になりながら、全身に絆創膏を貼りながら30年近くもの長きにわたりがんばってきたHSTに今度こそ本当に「今までありがとう」と言えそうな気がしますね。

姉妹同時観測を目指して開発を急ぐ「JWST」
NASA/MSFC/DAVID HIGGINBOTHAM






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2015-05-13 : 人工衛星 : コメント : 0 :
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