人間の受精卵の遺伝子を精密に改変する技術の必要性

中国中山大学(広州市)の研究グループが世界で初めてヒトの受精卵の遺伝子を改変したと発表しました。

今回の研究では不妊治療において不要となった86個の受精卵を使って血液の病気の原因となる遺伝子の変異を直すことを試みました。改変方法は世界中の科学者によって広く採用されている手法でしたが、狙い通り改変に成功していることが確認できたのは4個だけでした。細胞分裂後に異常を発生するものや狙いと異なる遺伝子が改変されていた受精卵もあり、受精卵レベルの遺伝子治療は解決しなければならない技術的問題が山積みのようです。

受精卵の遺伝子改変は重大な遺伝子疾患を治療するために有効な技術であると考えられる一方で、受精卵に人為的な改変を施せば子孫に受け継がれるため様々な倫理的問題を抱えています。そのため、日本、EU各国も認めていないようです。学会ではリスクも不明な状態での研究先行に警鐘を鳴らしています。

受精卵を操作して病気の治療をする時代が来るのか・・・技術的な問題では無く、親の感情の問題として、そういう時代は来ないのではないかと思います。ですが、現実問題として遺伝子に由来する難病に苦しんでいる患者さんは多くいます。にもかかわらず・・・の学会での議論にはこの分野を事実上容認している米国、そして今回少なくとも表向きは米国に対しても先行している中国に対する科学者のあせりも感じ取れます。

リスクが不明だからゲノム編集のモラトリアム(一時中止)をというのは、誤動作やクラッキングが怖いから自動車の自動安全装置は研究しません、と言っているのと同じです。こういった先端領域では管理された状態でできるだけ多くの実験を行って技術を確立すると共に、リスクを抽出してそれに対する対策を立てるべきです。評論をしているだけではリスクをつぶすことは出来ません。

今回の中国の発表で、世界中の科学者の持つ技術や生命に対する理解が要求されるレベルにまったく達していない事が明らかになったわけですから、やめろやめろ、ではなくて、では足りない技術は何なのか、なぜ中国の実験は成功率が著しく低かったのか、そういった問題の解明を実験を繰り返しながら進めるべきじゃないかな、と記事を読みながら思いました。

資源の無い日本が最先端技術でリードしていかなかったら・・・今、そういった重要なことを決定している世代が生きている間は大丈夫でしょう、でも私たちの子供たちの時代はどうする? 日本は世界の最貧国になってるかもよって思うのですけど。考えすぎですかね? 農業と遺伝子に関する技術開発はどんなに大きなリスクを取ってでもやらないといけない気がします。
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2015-05-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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