軌道エレベーターの軌道耐久予備試験開始

地上と宇宙をつなぐ乗り物として将来有望視されているのが軌道エレベーターです。

宇宙ステーションと地上駅の間にケーブルを渡し、エレベーターのような乗り物がロープウェイのようにそのケーブルを車輪でつかんで昇降するしくみが想定されています。ロケットのような過酷な上昇をしませんし、燃料消費量もわずかであるため、これが実現すれば訓練を積んでいない一般の人が宇宙旅行することが可能になりますし、大量の物資を宇宙空間に運び上げることも可能になります。

かつて軌道エレベーターは夢物語とされていました。その最大の理由は宇宙と地上を結ぶケーブルの開発が不可能と思われていたためです。ですが、炭素原子が非常に規則正しく並んで例の紐状になったカーボンナノチューブの発見によって軌道エレベーターは一気に現実味が増しました。カーボンナノチューブは非常に軽くて非常に丈夫なので軌道エレベーターのケーブルの材料として最適なのではないか、と考えられたためです。

ですが、カーボンナノチューブが軌道エレベーターの材料として適切かどうかはまだほとんどデータが無い状況です。当然、カーボンナノチューブの宇宙空間での耐久性もわかっていません。

株式会社大林組と静岡大学は共同で国際宇宙ステーションの実験モジュールきぼうを使用しカーボンナノチューブを宇宙空間に1年間または2年間暴露させる実験に着手しました。暴露後は回収して機械的強度や、その変化をもたらす結晶欠陥密度の変化などを観測することにより、宇宙環境における原子状酸素、放射線、紫外線などの影響を調べます。

下の図は国際宇宙ステーション/「きぼう」の宇宙曝露実験スペースで、青丸の実験装置にカーボンナノチューブを設置します。

軌道エレベーターの軌道耐久予備試験開始

今回の実験では下の写真のような直径約20ナノメートルの多層カーボンナノチューブ繊維をより合わせて長い糸状にしたものが使用されます。

軌道エレベーターの軌道耐久予備試験開始

先日の遺伝子操作の話とも似ていますが、本当に軌道エレベーターができるのかどうかは今後さらに、技術、必要性、費用などの点から検討せざるを得ないかと思います。ですが、大林組は2013年に「2050年を目標として宇宙エレベーター(=軌道エレベーター)を建設する」と発表しています。なんかこれって楽しいですよね。誰か一人が大きな目標をぶち上げると、なんとなくみんな自分の手元にある技術を使えないかな?って考え始めますよね。特に材料メーカーとか。そうやって夢は実現していくのだと思います。

単なる夢で終わるのかもしれないですけど、それでも今できることから着実に取り組んでいく、っていうのは日本の物作りらしくていいと思います。1980年代、まさに生命科学の新しい時代が始まろうとしているその時に、当時の大御所が若い人の意見を抑えつけて、斬新な研究に予算が付かなくなったり、優秀な科学者が海外に流出したりしました。その結果として遺伝子や創薬の領域で日本は追いつけないほど海外に遅れてしまい、景気の悪い時代の日本を支えられるはずだった知的産業を失ってしまった、その二の舞になることだけは避けないといけないと思います。
関連記事
スポンサーサイト
2015-05-17 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

おびおのプロフィール

おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
お気づきの点はメール
twitter:科学の自動会話プログラム ぼっとびお。

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

QRコード

QR