Chapter-547 二つの人工衛星の終わり

磁気圏観測衛星「あけぼの」(1989年打ち上げ)

「あけぼの」は、オーロラを光らせている高エネルギー電子を調べるための科学衛星で、磁気測定装置、プラズマ測定装置、放射線測定装置、オーロラ撮影カメラなど9種類の観測装置を搭載していました。

ヴァン・アレン帯の強烈な放射線に耐えながら26年間に渡り観測を継続し、オーロラや地球周辺の放射線領域を観測し、太陽の活動と地球磁場、オーロラ現象の関係の解明に重要な成果をあげました。

ですが、観測装置の半数以上が故障し、衛星軌道の高度が低下しているために、地球から遠く離れた場所にあるヴァン・アレン帯の十分な観測が出来なくなり運用を断念したものです。  運用期間が26年に達したことによって太陽の活動周期11年の2周期以上観測でき、長い年月における太陽活動の変化に伴う地球磁場の反応を非常に高い信頼性で観測することができました。  

人工衛星あけぼの

熱帯降雨観測衛星「TRMM(トリム)」(1997年打ち上げ)  

「TRMM」はモンスーンや台風による雨の様子を観測するための衛星で、3年の設計寿命の6倍近い17年半近く稼働し、天気予報の精度向上や途上国の洪水予測精度が大きく向上しました。  

トリムは街を走るミニバンの幅と高さをそれぞれ1.5倍にしたほどもある大型衛星でアメリカ製の衛星本体にアメリカ製と日本製のセンサーが搭載されていました。地球を縦割りにするように92分周期で周回することによって地球全体の観測をしていました。

衛星は大気との摩擦や地球の重力で高度が少しずつ下がりますが、TRMMの軌道は既に衛星としてはほぼ最低高度の地上300キロ付近にあり、今後は大気の影響を受けて急激に高度が低下することが予想され、2016年11月頃に大気圏に突入して燃え尽きる見通しです。

なお、衛星を制御する燃料はまだ残っていますが、スペースデブリと衝突して破壊され、破片をまき散らすことを防ぐために落下までは衛星の軌道修正が可能な状態で保たれています。立つトリム跡を濁さず、とはこのことですね。

人工衛星TRMM



この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。
ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな話題をわかりやすいフレーズで配信しています。
無料版(短縮版)は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。
有料版は株式会社オトバンクが発行するオーディオブック番組です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。
関連記事
スポンサーサイト
2015-05-24 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

おびおのプロフィール

おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
お気づきの点はメール
twitter:科学の自動会話プログラム ぼっとびお。

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

QRコード

QR