Chapter-553 「感じる脳」のメカニズムを解明

2015年6月13日 Chapter-553 「感じる脳」のメカニズムを解明

感覚は5種類あるので五感とよくいいます。それらは皮膚感覚(触覚)、目(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)で5種類です。このうちの触覚と残り4つ、視覚、聴覚、嗅覚、味覚の大きな違いはなんでしょうか? それは視覚、聴覚、嗅覚、味覚の4つの感覚は目、耳、鼻、舌という局所的に備わっているセンサーからの情報入力であるのに対して、触覚、皮膚感覚はほぼ全身から刺激の入力が可能である点です。

触覚には経験などと刺激が統合されることによって触覚を認識するというモデルが提唱されています。ですが、それが触覚のすべてであれば、何かに注意しなければなにも感じない、ぼーっとしている状態なら針を刺しても痛くない、というへんなことになってしまいます。

理化学研究所の研究者らが触覚に関する脳の中での情報の伝達についてさらに詳しく調べたところ、新たな仕組みとして神経細胞への入力は皮膚からの刺激情報のみであるにもかかわらず、情報伝達が途中で分岐して、あたかも高次の領域が関わるように動作する経路があることがわかりました。

今回発見されたその神経回路は、従来の回路とは異なり、本当の意味での予測や経験に基づく入力は必要とせず、それらのダミー情報ともいえる入力を行う回路として利用されている可能性があります。脳は本当に触感に予測や経験を関わらせる回路と、それらを必要としない神経回路を状態によって使い分けているかもしれません。

脳卒中や事故などでの脳損傷が、運動に関する領域は無傷でも高次領域に損傷が生じると体の半分だけ感覚がなくなったりすることがあります。今回の研究結果はそのメカニズムとして、脳損傷によって高次領域が適切に情報処理を行えなくなっている可能性を示唆しています。今後、詳細にメカニズムを明らかすることで、失認の改善や老齢による五感の知覚能力の低下予防・改善の手がかりを得ることが期待できます。



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2015-06-27 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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