誘導性オートファジー制御薬はアルツハイマー病進行抑制薬になるかもしれない

アルツハイマー病患者の脳にはベータアミロイドと呼ばれる異常タンパク質が蓄積しています。

細胞には体内を清浄に保つためのしくみの一つとしてオートファジーという能力を持っています。オートファジーではおかしくなってしまった細胞を食べて処分してしまいます。オートファジーには細胞の新陳代謝のために常に稼働し続けている基礎的オートファジーと、緊急事態が発生したときに作動する誘導性オートファジーがあります。

東京医科歯科大学の研究によると、アルツハイマー病患者においては飢餓によって脳内誘導性オートファジーが活性化するようです。アルツハイマー病患者における誘導性オートファジーは細胞外に蓄積した有害なベータアミロイドを細胞内へ回収することを促進する作用を伴っていましたが、それによって細胞内に大量の有害タンパク質を抱え込むことになってしまい、それが原因で神経細胞が死んでしまっていました。

この点については、アルツハイマー病患者では誘導性オートファジーの制御系が壊れてしまっている可能性も指摘されており、脳内誘導性オートファジーの制御をターゲットとした医薬品や治療方法の開発がアルツハイマー病の進行抑制や治療に役立つ可能性が見えてきました。

アルツハイマー病の治療薬とがんの治療薬って創薬科学の進展の仕方がそっくりで、病気のメカニズムにアプローチすることによって、治療薬のターゲットは大量に見つかるのですけど、なかなか効果に結びつくものが見つからないですよね。これだけ複雑でいろいろなバイパス経路やバックアップ回路のある人体ですから、一つや二つの酵素に作用しても、まぁ難しかろう、って感じでしょうか。
そういう意味では、オートファジーって「現象」をターゲットにする、っていうのはおもしろいかもしれません。できあがった薬は「作用メカニズムはよくわかりませんけど」ってなっちゃうかもしれないですけど、まぁ、それはそれで新たな基礎研究が進展するかもしれないですし。



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2015-07-19 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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