アルツハイマー病進行抑制薬の新ターゲット発見

ヒトiPS細胞から誘導したドーパミン産生神経細胞

記憶や思考は脳の神経細胞がシナプスという細胞同士の接合部分を介してネットワークを形成することで保たれています。アルツハイマー病では、シナプスにまず異常が起き、やがて神経細胞自体が失われることで記憶や思考が失われます。

アルツハイマー病発症に関する最近の有力な説では、神経細胞の損傷の原因はアミロイドβと呼ばれるタンパク質が集まって塊を形成することで神経細胞に対する毒性を持つためと考えられていますが、そのメカニズムは解明されていません。

京都大学の研究者らはアミロイドβが約30 個集まったかたまりが、神経細胞を大きく傷つけることを発見しました。このアミロイドβの塊は「アミロスフェロイド(ASPD)」と呼ばれます。ASPDは下の図のように神経細胞のシナプス膜にあるNAKα3というタンパク質に結合することによって神経細胞死の原因となることがわかりました。ASPD の結合によりNAKα3 の機能が低下し、神経細胞が過剰に興奮することで、神経細胞は死に至るようなのです。このような神経細胞の過剰興奮は、アル
ツハイマー病患者脳で神経細胞死が起きる初期の現象として報告されていましたが、また、アルツハイマー病患者の脳におけるASPD量はアルツハイマー病の重症度と相関していることもわかりました。

さらに研究者らはASPD に結合する4 アミノ酸のペプチドを発見し、このASPD 結合ペプチドがASPD 表面を覆い隠すことで、ASPD とNAKα3 が結合することを防ぎ、その結果神経細胞死が抑制されることも発見しました。ASPD 結合ペプチドの分子サイズは非常に小さいので、このようなASPD結合能力の高い低分子はアルツハイマー病で起こる神経細胞死に対する新たな治療薬開発となる可能性があり、全く新しい採用メカニズムのアルツハイマー病病態改善薬の開発が可能かもしれません。

アルツハイマー病進行抑制薬の新ターゲット発見
図は京都大学プレスリリースより引用
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2015-08-19 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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