Chapter-563 暗黒物質の正体は強相互作用性暗黒重粒子なのか

2015年8月22日 Chapter-563 暗黒物質の正体は強相互作用性暗黒重粒子なのか 

宇宙空間を満たしているという暗黒物質は未だその正体はつかめていませんが、暗黒物質があると仮定することによって天文学で観測されるいろいろな出来事をうまく説明することができる、そういう存在です。

いちおは物質で、むしろ宇宙空間に存在する物質の80%以上は暗黒物質、銀河系内のあらゆるところに存在し、質量は持つが、私たちの目に見える物質と相互作用をしないためどのような波長で観測しても見えないものです。これも、そういう性質であると仮定することによっていろいろとうまくいくということです。

最近では、遠くの銀河から来る光が大きな質量を持つ何かによって曲げられているので、そこには暗黒物質があるのではないか、あるいは、銀河の回転速度を計測した場合に観測される星よりも遙かに多くの質量がなければ回転が説明できないがそこには何も見えない、といった観測事実によって暗黒物質は確かに存在するらしい、という説が有力です。  

暗黒物質が何なのかは未だよくわからないのですが、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の研究者らが最近、新しい理論を提唱しました。その理論は「暗黒物質は湯川粒子と性質が非常によく似ている」というものです。この考え方はこれまでの暗黒物質に関する考え方と根本的に異なるものです。  

では湯川粒子とは何なのでしょうか?  専門家はこの粒子のことをパイ中間子とも呼びます。ただし、今回提唱されたのはパイ中間子そのものではなく、それと非常によく似た性質を持つ(SIMP:Strongly Interacting Massive Particle)という粒子であるという新理論を発表した。専門家はこれをシンプと読むそうですが、シンプだと科学者は懺悔しなければならなくなりますので、シンプのことを「強相互作用性暗黒重粒子」と呼ぶことにします。  

一方、強相互作用性暗黒重粒子がほぼ同じ性質を持つ湯川粒子、つまりパイ中間子は湯川秀樹博士が1935年に提唱した粒子です。湯川粒子は原子核を構成する陽子や中性子の間で作用し、原子核を安定的に保つとされています。銀河における暗黒物質の分布をシミュレーションした場合、これまでの暗黒物質として創造された性質をパラメーターとして与えると暗黒物質は銀河の中心に存在してしまうことになることがわかっています。ですが、実際には銀河の回転などの観測結果から、銀河の星と星の隙間を埋め尽くすように暗黒物質は存在しているはずです。

そこで、強相互作用性暗黒重粒子をパラーメーターとして与えると銀河の中心部から外側にかけて暗黒物質がなだらかに分布することがわかりました。この場合のダークマターの分布は観測事実とよく一致します。  現状では強相互作用性暗黒重粒子は数多くの暗黒物質に関する理論的な説明の一つに過ぎません。今後、欧州合同原子核研究機構のLHC加速器など、世界各国の加速器を使った研究によって確認されるかもしれません。



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