脳の神経細胞は行列を作って移動して自分の配置につく

脳は基本的に興奮しやすい神経細胞でできています。それら興奮性神経細胞が興奮しすぎて異常状態にならないように適所に抑制性神経細胞が配置されていて、興奮精細胞をなだめる役目をしています。このような緻密な構造は胎児期に形成されます。胎児期に適切に抑制性神経細胞が配置されないと統合失調症やてんかんなどの病気の原因になると考えられています。

一方で、胎児期にどのようにして脳が形成されるかを観察した実験によると、神経細胞は脳の深いところで生み出されて脳の中を移動して自分の持ち場に着くことがわかっていました。これだけでも十分な驚きなのですが、慶應義塾大学の研究者らが抑制性神経細胞を光らせるように遺伝子改変したマウスで脳の形成を観察したところ、下の図のように胎児の脳の奥深くで生み出された神経細胞は誕生場所から集団になって列を形成し、扁桃体付近までみんなで一緒に移動した後に、そこで離ればなれになってそれぞれが自分の持ち場に着くことがわかりました。

脳の神経細胞は行列を作って移動して自分の配置につく
慶應義塾大学のプレスリリースより引用

ではいったい誰が(どんな分子が)このような統率の取れた行動の指揮をしているのかを調べたところ、遺伝子の活性化を制御する COUP-TFII という分子がそれぞれの抑制性神経細胞の中で自分の行き先を制御していることがわかりました。脳の中で COUP-TFII がたくさんあると神経細胞は扁桃体の近くでみんな留まってしまい、COUP-TFII が少ないとバラバラに大脳皮質に移動して、扁桃体に寄り道さえせず、脳の芯部から一直線に大脳皮質を目指す道無き道を行く抑制性神経細胞も登場しました。

つまり、実際の胎児の抑制性神経細胞の中では COUP-TFII がそれぞれ適切に活性化して、一個一個の細胞の進路をコントロールしているのであろうと思われます。脳って、不思議過ぎます。誰がこんなしくみを生み出したのでしょうね?
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2015-09-26 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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