Chapter-567 アルツハイマー病予防の可能性

2015年9月19日 最新科学情報ポッドキャスト「ヴォイニッチの科学書」要旨
Chapter-567 アルツハイマー病予防の可能性

最近のアニメキャラクターはどれが誰だかわかんない、名前をネットで検索してもすぐ忘れてしまう、そういった感じで自分の記憶力に不安があるとわかっている人は、認知症ではありません。本当に認知症になる人は、本格的な発症の2~3年前から徐々に自身の記憶に障害が発生していることそのものを認識しなくなるようです。  

正直なところ、ひとたび認知症が発症してしまうと治療法は見つかっていません。ですが、症状を軽減したり進行を遅らせたりする薬剤はすでに処方されていますので早期発見は重要です。 

エーザイのアリセプト(E-2020)はアルツハイマー病を治癒することはできないものの、その進行を少し遅くすることができる画期的な新薬として1997年に発売されました。その後、膨大な物質数の特許がアルツハイマー病治療薬として出されましたが、明確な効果を持つ医薬品は登場していません。

この十数年はアルツハイマー病患者の脳に蓄積しているアミロイドβをターゲットにした特許も数多く出されましたが、どうやらこれもダメっぽいです。 アミロイドβは細胞外に蓄積すると老人斑などとよばれますが、これはアルツハイマー病患者でなくとも蓄積していることがわかっています。また、脳のどの部分がどのような認知機能に関わっているのかの詳細がわかった結果、老人斑の蓄積部位とアルツハイマー病で失われる認知機能の場所に関係が無いことがわかってしまいました。

日経サイエンス9月号に「アルツハイマー病予防への挑戦」という記事が掲載されていました。

米国コロンビア州でアルツハイマー病を必ず発症する遺伝子を持つ約5000人の家族集団が見つかりました。この1000人には共通の特徴的な遺伝子変異があり、その変異があると必ずアルツハイマー病を発症します。しかも、その多くは40歳代で認知機能のほとんどを失います。 そんな中で、一部の研究者らはアルツハイマー病発症予防薬の研究に取り組み始めています。その、研究対象として注目されているのがこの、アルツハイマー病を必ず発症する遺伝子変異を持った人々です。

現在行われているのはアミロイドβの除去を行う作用のあるモノクローナル抗体を若い頃から投与し続けると発症を防ぐことができるだろうか、そういった研究です。 現在、ラテンアメリカで行われているこのプロジェクトには米国NIHなどから百数十億円が投じられています。薬の投与が行われ始めたのが2013年のことでまだ3年しかたっていません。現在投与されているモノクローナル抗体の投与期間は5年間。本来であれば患者は着実にアルツハイマー病の発症に向かっているはずです。このモノクローナル抗体はアルツハイマー病が発症した患者の治療には失敗していますが、初期の軽度アルツハイマー病患者においてはわずかに回復の傾向が見いだされた唯一の薬、唯一の希望です。



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2015-10-04 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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