久々の超電導物質

超電導といえば非常に低い温度で電気抵抗がゼロになる現象です。
産業的にはリニアモーターカーや科学分析機器、医療機器などですでに実用化されています。研究領域では、超電導送電などのような実用研究の話題は散見されるものの、最近は超電導体としての性質を発揮する新たな画期的な物質の発見はありませんでした。超電導における画期的な物質は何かと言えば、より高い温度で電気抵抗がゼロになる物質の発見です。

超電導体も物質によって抵抗がなくなる温度が異なります。強烈な冷却をしなければ電気抵抗がゼロにならないような物質は実用性の点で問題があります。できれば、一般的な冷却装置で対応可能な程度の低温で抵抗がゼロになってほしいですし、欲を言えば気温程度で抵抗がゼロになれば世界は変わるかもしれません。

そのような研究領域において、22年ぶりのニューフェイスが登場しました。
ドイツのマックスプランク研究所の研究チームが水素と硫黄からなる硫化水素にある特殊な加工をすると、絶対温度203度(マイナス70度)で電気抵抗がなくなることを発見しました。これまで知られていた超電導物質と比較すると、60度以上も高い温度・・・といってもマイナス70度ですが・・・で超電導状態となりました。

ここで問題となるのが「ある特殊な加工」ですが、この硫化水素、地球中心部と同じくらいの超高圧を生み出すことができる世界中にもほとんど無い特殊な装置で、気体の硫化水を固体にすることによって作られました。つまり、そう簡単には作ることのできない物質です。

それでもこの研究をきっかけに、水素と超高圧がキーワードとなり、しばらく静かになっていた新物質探しが再び熱を帯びそうです。ただ、これよりももっとすごい超電導物質を作るには地球の中心部を越えた想像を絶する圧力を生み出す装置の開発もセットで必要ですし、仮に実現できたとしても、そのような特殊な加工方法では量産性の問題やコストの問題があるため、直ちに実用化・・・とはならないようです。

さて、超電導送電の実用化研究といえば、鉄道総合技術研究所が変電所から架線に電気送る際に超電導送電を利用することを検討し、営業路線での試験に成功しています。超伝導材料と絶縁体でできたケーブルの周りに液体窒素を循環させてマイナス200度付近まで冷却し、ケーブルの電気抵抗をゼロとして送電時の電気のロスをふせぐものです。ケーブルの冷却に必要な電力を差し引いても消費電力削減効果があるため、実用化を目指しています。
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2015-10-24 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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