Chapter-580 脳活動から予測したシーンを解読

私たちが日常生活を送る上で将来を予測することは非常に重要です。ライオンと遭遇したときに、逃げないと食べられるかも、という予測ができなければ死んでしまいます。また、ネットの記事で見たラーメン屋さんに行くときに、次の角を曲がればお店が見えるかな、店の前に列ができているかもしれないな、といろいろと想像するときには映像として予測をしながら歩いているはずです。「人が並んでいるかも」という文字を思い浮かべてその様子を予測する人はいないはずです。

脳活動から予測したシーンを解読

そういった心の中での予測について京都大学の研究者らが核磁気共鳴画像 (fMRI)で脳の活動を読み出すことによってコンピューター上に再現することに成功しました。実験参加者にまずこれから行う迷路ゲームに使用する地図を見てもらいます。その後に、fMRI 装置の中で迷路脱出ゲームに挑戦してもらいます。迷路を進みながら次に進むマス目が壁か通路かを予測してもらったところ、ゲームの前に迷路の地図をすでに見ていましたので正答率は9 割以上でした。おそらくこの時には実験参加者はその先が壁か通路か、つまり、まだ見えていない先のシーンを、記憶した地図を頼りに頭の中で映像として思い浮かべて予測しているものと思われます。

実験参加者が迷路を思い浮かべている最中の脳の活動をfMRIで読み取り、そのデータを統計解析方法の一つであるスパースロジスティック回帰法を用いて解析しました。その結果、脳の特定の領域(前頭葉内側部と頭頂葉)で次のシーンの予測に特化した活動があることが明らかになりました。

風景写真を地図上に配置すると、その地域の風景が想像できるのと同様の手法で、脳活動から読み取った予測を迷路上に配置して地図の復元を行いました。その結果、復元された地図は、実験に用いた地図と7 割以上の一致度となりました。また、脳活動から復元した地図は迷路予測ゲームの正答率が高い実験参加者ほど精度の高い地図が再現されました。

現在の脳活動の読み取り技術では迷路のような大まかなパターンしか再現することができませんが、このことは人が心の中で想像していることを画像化することが可能であることを示唆しています。たとえば、紙芝居式のゲームを開発するとき、現在はあらかじめ仕込まれた分岐条件によってルート分岐が行われますが、この時にプレーヤーは次のシーンがどのようなものであるか予測しながらゲームを楽しんでいると思われます。このようなケースに今回の技術を応用すれば、プレーヤーの想像に一致しているルート分岐をしてプレーヤーの満足度を高めたり、あるいは逆にプレーヤーの予想を裏切るルート分岐をあえて行って意外な展開を楽しんでもらったりできる新次元のゲームを開発できるかもしれません。



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2016-01-24 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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