ES細胞はなぜ老化しないのか?

ES細胞は少し成長した受精卵(胚盤胞)の内部から細胞(内部細胞塊)を取り出して培養した多能性幹細胞です。

ES細胞を出発地点として、試験管の中で体を構成するすべての細胞種を創り出すことができるので、iPS細胞と並んで将来の再生医療の柱になることが期待されています。あらゆる細胞に変化できること自体、凄い能力なのですがそれだけではなく、ふしぎなことにES細胞は分裂を繰り返しても老化しないのです。普通の細胞は分裂を繰り返すことで、染色体DNAの末端にあるテロメアと呼ばれる部分が短くなり老化し、細胞の老化に伴っていろいろ機能に支障が蓄積していきます。全身の細胞が老化することによって人間としての老化が進行し、細胞機能のエラーの蓄積が破綻に至ったとき動物は寿命を迎えます。

ところが、ES細胞は老化することなく半永久的に培養することができるのです。なぜES細胞は老化しないのか、そのメカニズムはわかっていませんでした。

理化学研究所の研究チームがマウスES細胞を顕微鏡下で長時間観察したところ、細胞分裂を終えた細胞が次に分裂するまでの周期の長さが細胞ごとに著しく長短があることがわかりました。また、テロメアが短くなった細胞は細胞分裂の間隔が長いこともわかりまいた。テロメアが短くなったES細胞では、「Zscan4」というタンパク質が著しく増加して、このタンパク質がテロメアの長さを元に戻し、細胞を若返らせていることが突き止められました。

ES細胞は、取り出すことなく子宮内で育てれば胎児になる細胞のかたまりですので、生物が誕生するまでは細胞が老化しないように細胞の若返りを繰り返し、誕生後はその機能が停止し「適切に」老化してある期間で「適切に」死ぬことによって世代交代を繰り返すように生き物は作られているようです。
関連記事
スポンサーサイト
2016-03-26 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

おびおのプロフィール

おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
お気づきの点はメール
twitter:科学の自動会話プログラム ぼっとびお。

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

QRコード

QR