Chapter-592 がん細胞の生存戦略

東京医科歯科大学、エジンバラ大学、国立がん研究センター研究所の共同研究です。 

がん幹細胞と呼ばれるがん細胞を創り出す能力を持つ細胞は化学療法や放射線療法に対抗して生き残ることができます。それは、ニッチと呼ばれるがん幹細胞の生存を助ける特殊空間を作り自らの身を守る能力があるためです。

治療を無効化するニッチはがん治療の最大の障壁です。ニッチはがん幹細胞を取り巻く微小環境、つまり人間の体内でありながら、がん幹細胞が自分の身を守り暮らしやすい独立した環境、いわばシェルターのような空間を作り出しているのです。そのため、このニッチを破壊する方法が発見できればがんの完全治療が可能になると期待されています。

ニッチの実体を把握するためにがん幹細胞の増殖を支援する合成高分子を脳腫瘍マウス脳内へ移植したところ、がん幹細胞はニッチで細胞外マトリックス、ガレクチン、鉄運搬蛋白質トランスフェリンなどを形成することがわかりました。細胞外マトリックスとガレクチンはがん組織の維持を行ったり、ニッチの中に呼び寄せた毛細血管から栄養分を奪い取ったりするタンパク質です。鉄輸送タンパク質トランスフェリンは鉄をがん幹細胞に供給します。

つまり、がん幹細胞はがんの治療を回避するシェルターを構築し、そこで自給自足しながら籠城し、がん治療の効果が弱まるのをひたすら待ち続けた後に、その時期が来ると一気に増殖に転じて再発に至っていたのです。



この記事はインターネット科学ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」のあらすじです。
ヴォイニッチの科学書は毎週ホットな話題をわかりやすいフレーズで配信しています。
無料版(短縮版)は iTunesStore インターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。
有料版は株式会社オトバンクが発行するオーディオブック番組です。定期購読はこちらからお申し込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配付資料を提供しています。
関連記事
スポンサーサイト
2016-03-27 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

おびおのプロフィール

おびおがしかし

Author:おびおがしかし
会社員をしながら科学のコンテンツを作ってます。書籍とか、トークライブとか、セミナーとか、ネットラジオとか、Webコンテンツとか。でも、楽しいことしかしません。楽しいことしかできない病、TD! それがおびおなのです。
苦手な食べ物:シーチキン、レバー、昆虫系
Web:ヴォイニッチの科学書
お気づきの点はメール
twitter:科学の自動会話プログラム ぼっとびお。

スヴァールバルの画像保管庫

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ワトソンの検索窓

ロザリンド・フランクリンのダイアリー

08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

QRコード

QR