暗黒バエ研究その後

京都大学で61 年間、1500 世代に渡って暗闇で飼育されて進化したショウジョウバエがいるというお話を、ヴォイニッチの科学書の2010年1月2日号Chapter-271で紹介しました。その続報です。

今回この「暗黒バエ」のゲノム解析を行い、進化、つまり環境適応に関わるゲノム配列解明にめどが立ちました。すでに暗黒バエの全ゲノム配列は決定されていましたが、SNPと呼ばれる遺伝子の変異が22万箇所もあって、どのSNPが暗闇適応に関わっているのかはわかりませんでした。そこで、暗黒バエが暗闇で優位に子孫を残すという性質を利用して関係している遺伝子変異の絞り込みを行いました。

暗黒バエと野生型ハエを混合して明るい場所で飼育する集団と、暗い場所で飼育する集団に分けました。そうすると暗黒バエと普通のハエのゲノムが混ざります。この時にターゲットとする暗闇適応に関わるSNPは、暗所の集団で頻度が上昇することが予想されます。この実験の結果22万カ所のSNPから暗闇適応に関わる候補遺伝子として84 遺伝子が絞り込まれました。この中には、嗅覚に関わる遺伝子や概日リズムに関わる遺伝子などが含まれていました。

現時点では遺伝子の配列としての変化に注目して調べた段階で、暗黒バエのなかでそれらの遺伝子がどの程度活性化されているのかは未確認です。現在、暗黒バエの遺伝子発現を解析中で、その結果がわかれば、実際に機能している遺伝子変異を特定できるものと思われます。特定できれば、その遺伝子を普通のハエに組み込んで、普通のハエが暗黒映えに変化するかどうかを確認する計画です。
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2016-04-05 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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