Chapter-595 アルツハイマー病で記憶は失われていない

2016年4月2日 Chapter-595 アルツハイマー病で記憶は失われていない

物忘れが重要な症状の一つであるアルツハイマー病において、記憶データは脳の中に保存されていて、それを呼び出すことができなくなっているだけなのかもしれないことがわかってきました。

記憶は海馬の「記憶エングラム」と名付けられた細胞の集合体に物理的に保存されることがすでに確認されています。そこで研究者らはヒトのアルツハイマー病を遺伝子組み換えで発症させたマウスに電気ショックを与えて嫌な記憶を植え付け、マウスがそれを忘れた後に記憶エングラムを無理矢理活性化するとどうなるのか、という研究に取り組みました。

アルツハイマー病マウスは、電気ショックの1時間以内であれば、箱の中ですくみますが、翌日になると、もうすくみません。つまりこのマウスは、怖い経験の記憶を作ることはできますが、24時間後にはそれを思い出すことができなくなっているのです。

そこで、アルツハイマー病マウスが電気ショックを受けたときに活動した記憶エングラム細胞に目印を付け、翌日、そのエングラム細胞群を刺激したところ、アルツハイマー病マウスはすくみました。 この結果は、新たに形成された記憶が失われているのではなく、思い出すことができないだけなのかもしれないことを示唆しています。

ただし問題は、記憶エングラムを刺激しなければ記憶の回復が見られない点と、今回用いたアルツハイマー病マウスは人間における非常に初期の症状のモデルであるという点です。 今回の技術を医薬品に応用するには記憶エングラムが特定できない記憶をどのようにして回復させるか、進行したアルツハイマー病でも同様の回復が期待できるのか、それらをさらに検討する必要があります。



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2016-04-10 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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