Chapter-596 睡眠時間を薬でコントロール

睡眠は多くの動物で普遍的に見られる生理現象で、睡眠時間が短すぎても長すぎても体調に異常を来します。ですが、睡眠時間を直接制御している遺伝子(睡眠時間制御因子)はわかっていませんでした。

東京大学の研究者らは神経細胞のコンピュータシミュレーションと、実際の動物における遺伝子操作研究を組み合わせることによって、カルシウムイオンのやりとりに関する酵素が睡眠時間制御因子の役割を担っていることを明らかにしました。

眠っているときの脳波を計測すると、徐波とよばれる特徴的な脳波が現れます。コンピュータシミュレーションによって、神経細胞に何が起きれば徐波状態になるかを再現することを試みたところ、カルシウムイオンの流入によって、神経細胞膜のプラスとマイナスのバランスが変化することが重要であることを突き止めました。

さらに、そこに関わる遺伝子群をリストアップすることにも成功しました。 それらの遺伝子を破壊したマウスを作製し、睡眠がどのように変化するかを調べたところ、顕著な睡眠時間の減少を示す遺伝子と、逆に明らかに睡眠時間を増加させる遺伝子が見つかりました。

遺伝子操作で遺伝子の働き具合を変えることで睡眠時間を長くしたり、短くしたりできることがわかりましたので、遺伝子操作の代わりにそれらに作用する薬で睡眠時間を変化させることが可能かどうかを検討したところ、カルシウムイオンが細胞の中に流入する際に必要な受容体の作用を妨害する薬をマウスに飲ませることによってマウスの睡眠時間が減少することが確認できました。つまり、睡眠時間の過剰や不足が原因の疾患に対して根本的な対症療法のできる薬を創り出すことができる可能性が発見されたことになります。



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2016-04-16 : ヴォイニッチの科学書 : コメント : 0 :
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