Chapter-603 ワイル半金属

2016年5月28日 
Chapter-603 ワイル半金属  

東北大学、大阪大学、ケルン大学(ドイツ)の研究グループが「ワイル半金属」を発見しました。超高速かつ低消費電力のコンピューター技術につながります。  

現在のコンピューターでは、電子が金属の中を移動して計算を行ったり、記憶を行ったりしています。ですが、電子が流れると抵抗が発生しますので、計算速度の頭打ちや発熱などの問題があります。これを解決できると注目されているのがディラック電子です。ディラック電子は質量のない粒子として物質中を高速に移動できますので、コンピューターの計算速度を高速化できます。

そのような材料の代表が炭素原子を原子1個分の厚さのシートにしたグラフェンです。グラフェンのディラック電子はシリコンの10倍以上の速度ですべるように移動し、一度動き始めた電子は抵抗がないのでより遠くまで移動することができます。  

ですが、グラフェンは二次元平面です。三次元的に電子が自由に存在できる物質があれば、その応用範囲は格段に広がると考えられており、三次元空間での質量ゼロの粒子は「ワイル粒子」と呼ばれ、ディラック電子と似ていながらも本質的に異なる粒子であることが知られています。ディラック電子はすでに発見された現象ですが、ワイル粒子はまだ実証されていません。  

このたび、研究者らはある種の半金属において物質内にワイル粒子が生成されるという予測を計算によって行いました。このワイル粒子を含む新しい種類の物質「ワイル半金属」が最近理論的に提案され、現実世界でそれを作り出すことに成功する日が待ち望まれていました。  

共同研究グループは、NbP(Nb:ニオブ、P:リン)の高結晶から電子を直接引き出して、そのエネルギー状態を高精度で調べました。その結果、理論的に予測されていた電子状態を確認することに成功し、NbPが新型のワイル半金属であることを実験的に確認しました。今回の研究は、ワイル粒子という長年その実証を待ち望まれていた粒子が、実際の固体物質内に存在することを示したものです。


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