Chapter-606 エイで発電

2016年6月18日 
Chapter-606 エイで発電

クリーンで安全な発電方法として、生物機能に着目した発電方法が注目を集めていますが、最近特に注目を集めているのが、電気を使って攻撃するタイプの生物です。

理化学研究所の研究チームは体内の電気器官における変換効率が非常に高いシビレエイに着目しました。シビレエイでは細胞膜の内側と外側でイオンのやりとりをしているポンプを神経伝達物質のアセチルコリンで刺激すると、細胞外にあるナトリウムイオンが一気に細胞内に流入し、強い電流が発生します。 シビレエイの発電装置である電気器官では、イオンポンプが細胞膜に集積することによって電流密度が増加し、さらに発電細胞を直列に並べることによって高出力発電を可能にしています。この仕組みを電池として利用できないのでしょうか。  

まず、捕獲後数日以内の新鮮なシビレエイの頭部を圧迫刺激したところ、ピーク電圧19ボルト、ピーク電流8 アンペアの100分の1秒秒以下の周期のパルス電流が発生し、LEDの点灯やコンデンサへの蓄電ができました。

続いて、電気器官を取り出し、アセチルコリンを注入して刺激すると1分間以上もの間、電流が継続して流れました。取り出した発電器官は摘出後も機能を保ち、繰り返し使用可能であることも明らかになりました。  

そこで、電気器官を3 cm角にカットし、これをアルミやシリコンゴムで作製した容器に固定し、それを直列に16個つないで電源安定化のための回路を追加して電池のようなものを作ったところピーク電圧1.5 V、ピーク電流0.25 mAを達成し、安定した出力の電池のように使うことができました。  

生物から取り出した組織をそのまま使うのでは量産性の制限などがありますが、生物の発電能力をより単純な有機化学物質で置き換えたり、iPS細胞によって作り出した生体親和性の高い電池を開発したりするなどは非常に将来性の高い研究領域であると考えられます。


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